この所、大型建築物の耐震強度未達の問題がクローズアップされるニュースが
多く流れましたが、昨年、メディアで報道された超大手の不動産会社と建築会社の
不始末もひどいものでした。
勉強になりますのでふり返って見てみることにしましょう。
皆さん、横浜市西区のマンション「パークスクウェア三ツ沢公園」の傾きの顛末を
ご存知ですか? 築10年後の2013年3月に手すりのずれからマンション管理組合、
マンション販売会社「住友不動産」、建設会社「熊谷組」の3者が1年間、
すったもんだの末、マンションの傾きと原因が判明した事件です。
筆者が新聞報道等で知り得た顛末を以下に示しておきます。
・2003年、マンション完成
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・2013年3月、住居棟をつなぐ渡り廊下の手すりのずれを1級建築士が発見
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・住友不動産は「施工誤差で当初からずれていた」との文書を提出
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・最上階の11階が1階より南に約5cm張り出していることが
1級建築士の測量により判明
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・2013年8月、住友不動産は「傾斜は軽微で問題ない」としたが、原因調査に
応じる意向を示す
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・マンション管理組合は「構造設計に詳しい1級建築士を指名し、調査に加える」よう
住友不動産に要請
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・マンション管理組合は画像処理ソフトを使い、『昭和初期の地形図』、『マンションの
位置情報』、『杭の長さ』の3点の三次元分析を実施。
⇒『1棟あたり10数本の杭の半数が固い地盤の支持層に届いていない』恐れが判明
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・2014年5月、住友不動産はボーリング調査により『杭が支持層に数m届いていない』
ことを認める
不動産業界と建設業界は昔から品質問題を常に抱え込んでいる業界ですが、
超大手の「住友不動産」「熊谷組」までこのあり様ですから驚きです。
2014年の夏に新聞やテレビで大きく取り上げられましたが、それ以降の続報がなく
詳細が分かりませんが、筆者の感覚からは1棟だけの傾斜問題ではないと思っています。
根拠ですが、1万2千平方メートルの傾斜地に6棟が建設されました。
「1棟の杭が支持層に届いていなかった」ということは、他の棟にもその恐れがあることが
充分に考えられるからです。
総世帯数262世帯だそうですが、「ピサの斜塔」ほどひどくないにしても
傾斜マンションに永住するのは無理でしょうから、建て直し等の対策が必要に
なってくるでしょう。
住民の方々はどうされるのでしょうね?