本ブログでも『待機児童「ゼロ」問題』を何度か取り上げましたが、
繰り返される新聞報道などを見ても待機児童「ゼロ」にできない根本原因が
わかりませんでした。
過去17年間にわたって政府による待機児童解消に向けた政策が実施されてきましたが、
待機児童「ゼロ」が実現されていないのに驚くばかりです。
安倍政権などは連続3回も政策を変えて実施しましたが、見通しさえつかない
体たらくぶりです。
政権 政策 スタート年
小泉政権 待機児童ゼロ作戦 2001年
福田政権 新待機児童ゼロ作戦 2008年
菅政権 待機児童ゼロ特命チーム発足 2010年
安倍政権 待機児童解消加速化プラン 2013年
子ども・子育て支援新制度 2015年
子育て安心プラン 2017年
待機児童を解消できない最大の原因は“保育士不足”と言われています。
「施設を作っても保育士不足で定員を満たすことができない」状況が多くあるからです。
筆者は、単純に“保育士の平均賃金をアップすれは済む問題”とばかり思っていました。
・東京都の調査によると現職保育士の2割が退職意向を持っている
・厚生省の調査によると2017年の保育士の平均賃金は 月22万9900円で、
全産業平均より10万3900円も安い
からだとばかり思っていたからです。
保育士の賃金は、戦後間もない1948年に定められた保育士「配置基準」が
大きく関係しており、賃金アップが非常に難しく大きな問題となっています。
配置基準:保育士1人あたり
✓1~2歳児は6人
✓4~5歳児は30人
となっている
認可園の現状:保育士1人あたり
✓1~2歳児は3人
✓4~5歳児は15人
が実態である
認可園の現場では「配置基準」の2倍の保育士が配置されています。
現場を知る自治体が保育士を多く配置しているのに対して、
国は基準に従った配置を求めており、現場の実態に合わせて「配置基準」の見直しを
行う気はさらさらないようです。
私立認可園(認可保育園の6割を占める)の保育士の給料は、
私立保育園に支払われる委託費の中から支給されます。
私立認可園への委託費=「国の公定価格」×利用児童数
「国の公定価格」は前述の「配置基準」を前提に算出されますから、
現場の実情に合わせて手厚く保育士を配置すればするほど保育士1人当たりの
取り分(賃金)は少なくなります。
これが保育士の賃金をアップできない大きな原因になっています。
ちなみに欧州各国は
・保育士の賃金は小学校教諭と同等にする
・保育士の配置は年長児でも1人あたり15人とする
ことなどを共通の目標としてやってきています。
それに比べ日本の政府のだらしなさといったらあきれるばかりです。