2018年8月15日付の新聞報道によると、国宝や国の重要文化財(重文)、
都道府県の指定文化財(美術工芸品)の盗難被害が115件(注)もあるそうです。
注)行政機関に盗難被害が届けられた件数
盗難被害 うち行方不明
国宝・重要文化財 78件 28件
都道府県指定文化財 37件 30件
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計 115件 58件
インターネットオークション(ネット競売)サイトの運営会社によると、
競売への古美術の出品は増加傾向にあるそうです。特に最近は、『仏像女子』の
言葉が生まれる程の仏像ブームになっており、仏像の出品も増えているようです。
いったん落札されると転売などで行方不明になるケースが多く、もとの所有者に
戻ることは少ないそうです。
近年、
・高齢化や人口減で住民による保護が困難な地域が増えている
・無住の寺社も多い
などで仏像の守り手が減ってきており、盗難にあってしまうようです。
仏像は崇拝の対象で、地域の宝でもありますので次の様な対策を
とっておくべきでしょう。
〇盗難にあった時の事を考え、
✓写真を撮っておく。
✓写真・寸法・材質・制作年などをデータベース化しておく。
〇レプリカを作成し、レプリカを公開・展示する。
実物は安全な場所(博物館など)に収納する。
〇コストがかかるが監視カメラの導入や警備会社との契約を行う。
ところで都道府県の指定文化財(美術工芸品)については
「所在不明」の問題もあります。
2018年8月現在、298件もの指定文化財が所在不明となっています。
その多くは都道府県が所有者と連絡を取っていなかったため、相続や売買などの
情報を把握できておらず、所在不明になってしまったようです。
参考までに所在不明の件数が多い都道府県の上位6位までを示しておきます。
都道府県の指定文化財の所在不明件数[2018年8月現在]
栃木県 52件(612件)
静岡県 22件(272件)
山形県 15件(343件)
大分県 13件(273件)
神奈川県 7件(208件)
岐阜県 5件(416件)
注)カッコ内はその都道府県の指定文化財件数です。