福島第1原発から出る放射性汚染水の処理水(*1)の処理方法が混迷しています。
*1)2011年3月の事故で、原子炉内の冷却水を失ったことで核燃料は
炉心溶融(メルトダウン)し、ほとんどが圧力容器を突き抜けて
格納容器の底にたまってしまいました。原子炉建屋にできた亀裂から
地下水が建屋内に流入し、溶融燃料に触れて高濃度の放射性物質を含む
汚染水が絶え間なく発生し続けています。
政府と東京電力は事故直後から「キュリオン」「サリー」
「ALPS(アルプス)」等の放射性物質除去装置を使い、汚染水の浄化を
行ない、その後、処理水として第1原発の敷地内のタンクにためています。
この汚染水の処理水にいくつかの重大問題があります。
問題1)処理水は第1原発の敷地内の約900基のタンクにためられていますが
総量は89万トンにも上り、満杯になりつつあります。
放射性物質除去処理を停止するわけにはいきませんので、至急何らかの
対策をとる必要がありますが、対応策が決まっていません。
問題2)放射性物質トリチウムは放射性物質除去装置を使っても
取り除くことができないので、処理水に含まれた状態で残ります。
問題3)2018年8月、処理水に一部の放射性物質が国の排水基準値を
上回って残留することが発覚しました。
その後、タンクで保管中の処理水の8割(約75万トン)はトリチウム以外の
放射性物質の濃度が基準値を超えていることが判明しています。
東京電力は7年半以上にわたってためてきた処理水を再浄化せざるを
得なくなりました。
問題4)処理水の最終処分方法が決まっていません。
2016年、経済産業省の専門家部会は処理水の最終処分方法について
以下の5案を公表しましたが、現時点でも決まっていません。
第1案の「海洋放出」案が最有力のようですが、地元は大反対しています。
処理水処分案:
(1)希釈して海洋に放出
(2)地下2500mの地層に注入
(3)水蒸気にして大気中に放出
(4)電気分解で水素にして大気中に放出
(5)セメントなどに混ぜて地下に埋設
これだけの重大問題があり、いずれも困難な解決策を求められる状況に
あるわけですから、放射性汚染水の処理水の処分方法が混乱するのは
あたりまえですね!