昨年(2019年10月)の台風19号での避難所への避難で、ペットの受入れを
断られるケースが発生しています。
千曲川の堤防が決壊した長野県内では避難所でペットの受入れを断わられ、
ペットと一緒に車中迫した被災者が出たそうです。
2011年の東日本大震災で、ペットが自宅に取り残されたり、飼主とはぐれて
放浪したりするケースが相次いだため、環境省は2013年に「ペットと飼主が
一緒に避難する『同行避難(*1)』を推奨するガイドライン」を作成しており、
その中で地域防災計画に”ペットとの同行避難”を記載し、避難所・仮設住宅の
管理者との調整、必要な支援物資の備蓄を自治体に求めています。
環境省のガイドライン策定から6年もたっているにもかかわらず、
✔ペットに関する避難所の運営方針すらない自治体
✔ペットの同行避難への実際の対応が検討されていない自治体
が数多く存在します。
老齢化がすすむ日本社会では
・イヌ・ネコなどのペットを家族の一員とみている世帯が増加している
・イヌ・ネコを飼っている世帯が全所帯の10%を超えている(*3)
など、飼っているイヌやネコを放置して避難することができなくなっている世帯が
増大しており、無視できなくなっています。
そうした中、2018年の西日本豪雨災害時に同伴避難(*2)を実現した先進的な
自治体がありました。岡山県総社市は市長の号令一下、市役所内など3カ所に
同伴避難所を設け、獣医師らと連携してペットの体調管理を指導し、ピーク時には
46人の飼い主がイヌ17頭、ネコ6匹とともに避難生活を送ったそうです。
各自治体は総社市を見習ってほしいものです。
*1)同行避難:ペット一緒に避難し、ペットを避難所に預け入れる避難
*2)同伴避難:ペット一緒に避難し、ペットと同じ空間で生活する避難
*3)2018年現在の日本の世帯数 5661.4万世帯
・イヌを飼育する世帯数 715.4万世帯(12.6%)
・ネコを飼育する世帯数 553.9万世帯(9.8%)